日本農業新聞掲載に掲載されました[JA―DX 成功の鍵]①
(1)続けようデジタル化 エラー改善、議論して 合同会社JSR代表・藤川信久
一昨年の7月、日本農業新聞本欄に「JA―DXのヒント」という題で、どうして今、デジタルトランスフォーメーション(DX)を導入する必要があるのかについて、連載させていただきました。これ以降、多くのJAがDXに関心を持ち始め、機運が高まってきたように見えます。その一方で、関心のないJAも存在します。どうも二極化が始まったようです。
多くのJAの皆さんと話をさせていただく中で、なかなか進まないJAの共通点が見えてきました。今回は、どうすればJAにDXが定着するかを述べてみたいと思います。
まず、最近耳にするのが「資材注文書をデジタル化したが、うまくいかなかったので従来の2枚複写の注文書に戻したい」という話です。よくある話です。
私から言わせると、とても残念なケースです。せっかくいろいろな困難を乗り越えてデジタル化にこぎ着けたのに、元のアナログに戻そうということですから。
では、どのようにしたらデジタル化を続けられるのでしょうか。事業であれDXであれ、簡単には成功できません。軌道に乗せるまでには、トライ&エラーはつきものです。これを繰り返していくのです。重要なのは、起こるトラブルやエラーをどのように処理するかです。
話を聞いてみると、JAの場合、2、3人とかそんなに多くない人数の部署でDXを考えて進めるのが大半です。そして、エラーが起こると、反対するのは決まって声が大きく、前向きでない人たちです。この圧力に負けてしまい、頓挫するケースが多いようです。そうならないためにはエラーを分析し、その改善・修正策を議論できる装置を、JA内部に設ける必要があります。これがないと腰砕けになってしまいます。
数人の職員や一部署で決めたのではなく、JAの決定として職場に落としていくことが大事です。そのために、この装置が大きな役割を果たします。導入時のストレスの多くは、軽減されるはずです。
やってみたがうまくいかない原因の大半は、この装置が内在化されていないからです。私は、その具体的な形として、プロジェクトチームを提案します。次回から具体論を述べさせていただきます。(5回連載)